シンガポール通信ープロジェクションマッピング後記

プロジェクションマッピングのイベントが終わって2週間以上経つが、このところしばらくブログの更新をしていなかった事に気付いた。

言い訳じみているが、イベントの準備や実行でエネルギーを使い果たした事や、このイベントが経産省のクールジャパンの助成金を受けている事から、イベントの報告書を提出する必要があり、その報告書の作成に時間を取られていたからである。
やっと報告書もほぼ完成したのでホッとしている所である。いつも週末に1週間分の食料を買い出しに明治屋に行く事にしているが、今日も明治屋に行くためにタクシーに乗った所、タクシーの運転手に「お客さん疲れていますね」と言われてしまった。どうも顔に出てしまっているらしい。

さてプロジェクションマッピングの報告もそろそろおしまいにしたいが、最後に少し追加しておこう。今回のイベントでシンガポール人に関して新しい発見といったらなんであるがこれまで知らなかったシンガポール人の新しい面を見いだした。

一つはシンガポールにもマニアもしくはオタクがいることである。イベント会場やイベント会場近くの歩道橋からカメラやビデオでイベントを熱心に撮影していた多くの人達が居るのには気付いていたが、この人達の多くがイベントの終了後に撮影した写真やビデオをFlickrなどの写真投稿サイトやYoutubeなどのビデオ投稿サイトにアップロードしている事を見いだした。

その写真やビデオが実に良く撮れているのである。これは毎晩のようにイベント会場に陣取ってイベントの写真やビデオを撮りその中からいい部分を編集してアップロードしているのであろう。これは立派な写真/ビデオ撮影マニアもしくはオタクと言っていいであろう。ビジネスにしか興味がないと思っていたシンガポール人にもマニア/オタクがいるのである。

と同時に、プロジェクションマッピングが正に行われており、多くの人がアートサイエンスニュージアムの外壁にプロジェクションされた映像に見入っている時に、その側をまったくイベントには関心がないかのようにその方も見ないで通り過ぎる人が少なからず居た事にも気付いた。

もちろん用事があって急いでおり、イベントを見る時間がなかった人もいるだろう。それでも日本ならば、イベントが行われている側を通り過ぎる人は、少なくともプロジェクションされた映像をちらっとでも見てから通り過ぎるであろう。それが全くイベントそのものが行われていないかのように、無関心のまま通り過ぎるのである。日本では考えられない事ではないだろうか。

これが私一人の感想ではない事は、土佐のビデオ映像のタイトルの文字を書いて頂いた書家の海老原さんもイベントに立ち会うために来られていたのであるが、私と全く同じ感想をもらしておられたことからもわかる。イベントもしくはアートマニアとそれに対してその対局にあるイベントやアートに対する無関心層。このどちらがシンガポール人の顔なのだろう。

多分そのどちらの領域に属する人もシンガポールにはいるのだろう。私がシンガポールに来た6年前にはアートのアの時もなかったシンガポールで最近はアートイベントが開かれる事が多い。それに伴い、人々の趣味や好みも変わって行っているのであろう。これからシンガポールがどうなって行くのかは大変興味深い点である。