シンガポール通信ーArtScience Museumでの展示の準備

私のパートナーの土佐尚子がシンガポールのMarina Bay SandsにあるArtScience Museum(ASM)で9月末から彼女のアート作品の展示を行う予定であるが、そろそろその準備を行う必要があるということでASMを訪れた。

ASMは科学技術とアートの境界領域の作品(もしくは技術)を展示するための美術館である。しかし科学技術とアートの境界領域の美術館というのは言うのは易しくても実際に実現するのは困難である。世の中のこの手の美術館(もしくは博物館)は、純粋のアートを展示するかもしくは技術の歴史的展示物を展示する博物館かに二分されているようである。

ASMも例外ではなく、なかなかその理想に合致したコンテンツがないようで、展示の企画には苦労しているようである。現在はエジプトのミイラ展とチャールズ・イームス展が同時に行われている。チャールズ・イームスは有名な米国のデザイナー・建築家・映像作家であるが、通常は彼の作品は普通の美術館に展示されるものであろう。

一方ミイラ展は通常なら博物館で展示する内容のものであろう。これらの異なったコンセプトの展示を同時に行っているという事が、なかなかアートと科学技術の共通領域の展示を行う事の難しさを示しているようである。

土佐尚子の今回の作品は液体(絵の具やオイルなど)がスピーカーなどの振動によって飛び跳ねる様子を高速度カメラで撮影したもので、自然現象ではあるが同時に作り出されたさまざまな造形はアートとしても見なす事ができるため、ASMのコンセプトに合致しているという事で、展示にこぎ着けたものである。当初9月初めからの予定であったが、シンガポールで9月にF1が行われ、その期間中はASMでF1向けのイベントを行うということで、9月末もしくは10月初めから3ヶ月間行うという事で最終的に合意した。



ArtScience Museumの入り口。これは平日の午前中撮った写真であるが、平日の午前中は来場者も少ないようである。



作品を展示する予定の会場。すでにプロジェクターやスクリーンが用意してあるため、それらを利用して彼女のビデオ作品を展示する予定である。



プロジェクションのテストを行うため、ASMの閉館時間を待っている所。閉館が午後9時なのでテストを行うのはそれ以降になる。



まず中央の大スクリーンを使ってプロジェクションのテスト。




左右のスクリーンにもプロジェクションした所。



中央の大スクリーンの近景。なかなかの迫力である。