シンガポール通信ーエンタテインメント・コンピューティングの会合

早いものでもう6月になってしまった。先月マイクロソフトの主催するeHeritageワークショップが台北で行われ参加した事を報告したが、実はその後韓国に行きエンタテインメント・コンピューティングに関する会合に参加したので、簡単にその報告を。

この会合は正式にはIFIP TC14 meetingという名前で、毎年春秋の2回会合を持っている。これだけでは何の事やらわからないので、少し説明をしたい。

IFIPは正式には、International Federation on Information Processingという名前の団体で、情報処理に関する研究を世界レベルで振興するために、ユネスコによって設立された団体である。今年設立50年ということなので、なかなか歴史のある団体である。

50年前というと、やっとIBMが商用のコンピュータを開発した頃であり、まだ日本ではコンピュータなるものもあまり知られていなかった時代である。日本では手回し式のタイガー計算機なるものが幅を利かせていた時代でもある。

そのころすでに情報処理の重要性と将来の発展性を予測しその研究を世界規模で振興しようとしてこの団体を設立したというのはある意味でユネスコの先見の明があったということになる。

情報処理は広い分野なので、具体的な活動としてはそれぞれの分野ごとに分科会(Technical Committee、略してTC)を設置して、各TCがそれぞれの担当の分野の情報処理の世界規模での研究振興を行うという仕組みになっている。

50年前に設立されたという事からもわかるように、初期の頃に設立されたTCは「コンピュータサイエンス」、「ソフトウェア」、「情報技術の応用」などと今から見ると広すぎる分野を担当しているものが多い。

時代が下るにつれ、「人工知能」、「セキュリティ」とかなどのより現代的な名前のTCが設立されるようになってきたが、情報処理の世界は変化が激しいので、新しいTCを設立したり今後初期に設立されたTCを改組するなどが必要になってくるだろう。

TC14は正式にはTechnical Committee on Entertainment Comutingという名称でエンタテインメント技術を取り扱うTCとして2006年に設立された。14のTCの中では最も新しいTCである。実はTC14設立に至るまでにその準備委員会を2002年に設立し活動を行ったが、またその辺りの話はブログでおいおい取り上げて行きたい。

TCは研究の主たる目的にしているのでTC14はエンタテインメント技術に関する国際会議などの開催を主たる活動にしている。具体的にはICEC(International Conference on Entertainment Computing)という国際会議を毎年開催している。

この国際会議は準備員会の発足した2002年に設立され、それ以降毎年アジア、アメリカ、ヨーロッパで順に開催する事になっている。この国際会議の開催に関するいろいろな事柄を議論するのがTC14 meetingの主たる目的である。

エンタテインメント技術に関する研究を世界規模で振興するという目的からも推察できるように、この分野の研究に興味を持っている国から代表を出してもらい、その人たちがTC14を構成するメンバーになっている。現在20数カ国から代表が出て来ている。

エンタテインメントという技術分野からもわかるように、どうしても米国、日本、フランスなどゲームを始めとするエンタテインメントが盛んな国から代表が出て来ているが、ゲームが世界的な規模で普及している事から、今後は他の国々からも代表が出て来てくれる事を期待している。

今年のICECは韓国ソウルで9月に開催される事から、TC14 meetingもソウルで行う事となり、台北でのマイクロソフトの主催するワークショップに出席した後、韓国での会合に出席したという訳である。

とまあ固い話しになってしまったが、実質的には2002年から活動しているので、既に多くのメンバーは顔なじみである。もちろん、国際会議の開催はなかなかの大事業なので、それに関する議論はまじめに行う訳であるが、参加者の多くがその後のソウルの街に繰り出してのディナーが楽しみにしていることは明らかである。

基本的には大半のメンバーが大学の先生方でありヨーロッパの大学の先生方も多い事から、議論の時は中々皆さん自説を主張して譲らないので、司会をしている私としては大変なのであるが、夜の部になると皆態度が一変して、プライベートの顔になる。

私の本で、欧米人とアジア人のフォーマルな面とプライベートな面に関して述べた。また結論としては、基本的には人間であり、特にプライベートな面では欧米人とアジア人に差がない事を述べた。私のこの考え方は、このような欧米やアジアの人たちとの付き合いの中で実感として持つようになった考え方である。


IFP TC14 meetingの出席者、ソウルはヨーロッパ、アメリカから遠い事もあり、出席者はメンバー全体の半分程度

会合が終わるといつものように飲み会、今回はソウルの日本風居酒屋で